2019年10月1日(火)から2020年6月30日(火)までの期間限定
今回の消費税増税に関わるポイント還元期間は、2019年10月1日(火)から2020年6月30日(火)まで、9ヵ月間の期間限定措置です。増税後の一時的な消費の落ち込みを回避しながら、多くの消費者がキャッシュレス決済に慣れるには十分な時間かもしれません。
大企業でも独自還元の動きがある
さて、今回のポイント還元で適用対象になるのは中小企業あるいは小規模店舗ですが、それ以外の店舗でも独自にポイント還元をする動きが出てきています。
例えば、日本のコンビニ企業であるセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社では、還元制度の対象とならない自社直営店についても、個人オーナーのフランチャイズ店と同率のポイント還元を自社で負担することで、消費者がどの店舗でも同じサービスを受けられるように配慮しています。また、吉野家ホールディングスの主力事業「吉野家」でも、コンビニ各社と同じ方針をとっています。
この流れがさらに波及すれば、より多くの店舗でポイント還元が実施されることになるでしょう。
消費税増税に伴うポイント還元の目的は?
消費税が増税となると、消費者の負担が増え、その消費の落ち込みの影響を中小企業、さらには個人営業の店舗が大きく受けることになります。こうした規模の小さな店舗は体力的な余裕が少なく、消費税増税が経営を圧迫することにもつながってしまいます。
そこで、「消費の落ち込みをできるだけ抑えること」「小規模事業者を保護すること」が今回のポイント還元の目的となっています。また、適用対象をキャッシュレス決済のみにしぼったことで、「キャッシュレス決済の普及を進めること」という目的も上乗せされることになりました。
これらの3つの目的について、さらに詳しく解説しておきましょう。
増税直後には消費が冷え込む
過去に何度か行われた消費税の増税では、増税直前の駆け込み需要の後、急速な消費の落ち込みがありました。もちろん、社会生活を続けていく以上、お金を使わないわけにはいきません。それでも、増税から一定の期間は、「税金が上がったから」という心理的要因も働いて、消費活動が冷え込むのが常です。
今回のポイント還元制度には、こうした現象を少しでもやわらげたいという狙いがあります。
中小企業や小規模店舗の保護
経済的な体力が万全な大企業に比べて、中小企業は経営状態が景気動向に左右されやすい面があります。さらに、個人経営の小さな店舗にとって、消費増税で消費が冷え込むことは、まさに死活問題です。これら小規模な企業や店舗に配慮するため、適用対象を絞り込んだのが今回のポイント還元制度です。
小さな企業や店舗でお金を使うことで、場合によっては増税どころか減税効果が期待できる制度となっており、政府では3,000億円規模の財源が必要となる見通しです。それだけのコストをかけても、消費の落ち込みとそれに連なる中小事業者の負荷を軽くしたいという目的があります。
キャッシュレス環境を整える絶好の機会
近年の日本は、海外からの訪日観光客によるインバウンド需要は増えるばかりです。しかし、海外で広く普及しているキャッシュレス決済が、日本ではまだまだ浸透していません。これでは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、その先の大阪万博などのビッグイベントを目的に日本を訪れてくれた海外からの旅行客が、不便な思いをすることになってしまいます。
キャッシュレス決済に対応できていなければ、企業や店舗が商機を逸することにもなります。今回の消費税増税で、ポイント還元対象をキャッシュレス決済にしぼったのは、もっとキャッシュレス決済ができる店舗を増やす必要があることも背景のひとつです。
軽減税率やポイント還元制度のメリットを上手に使おう
消費税の増税は、消費者の家計に直接影響し、それが消費の落ち込みや小規模事業者への打撃となります。その対策として打ち出されたのが、これら2つの制度です。
消費者にとっては、うまく活用すれば減税効果を得ることができ、お得感も大きいでしょう。ポイント還元は期間限定ですが、どちらも上手に活用して家計のやりくりに役立ててください。